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【MRのキャリア】営業畑でのキャリアアップと向いている人

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今日もお疲れ様です。年度が替わり、心機一転頑張るぞと意欲に燃えている方や、新天地での生活にあくせくされている方も多い時期になりましたね。今回は、内資系製薬会社に勤務して5年目の私が、自分が今後どうありたいかも含めてMRのキャリアについて書いてみます。

 (目安:3分)

 

 

本社スタッフ編も書いておりますので、もしよければそちらもご覧ください。

 

mrtofire.hatenablog.com

 

【目次】

主要なポスト・部署

営業所長・ブランチマネジャー

真っ先に出てくる役職は、やはり現場の責任者である所長やマネジャーでしょう。現場を回っている中で最も密接に関わる方々です。営業所の規模にもよりますが、MR10~20人あたり1人くらいの割合で配置されています。

業務はもちろん管理職らしく所属員への活動指示や支援が主となります。現場を回っているMRから所長へランクアップした方が皆さん口をそろえて仰るのは

「内向きの仕事量がものすごく増えた」ということです。

今までは得意先を活動の中心においていればよかったところ、所長になってからは所属員のことをまとめたり、さらに上の部署との調整を図ったりという業務が増えてきます。

 

内資系製薬会社の場合、40歳前後で所長になる方が多いです。新卒で入社してから数えると、大体20年ほどになりますね。年功序列による昇進がベースにありますので、これよりも極端に早いということはありません。

外資系の場合はそれよりもずっと早く昇進される方もたまに見かけます。実力主義の側面がこういったところに出てくるのでしょう。

 

いろいろなタイプの人がいます。医師との関係性を構築するのが上手かったり、医師と話し込むことが好きだったり、ロジカルな思考力がずば抜けていて企画力があったり。

ただ、総じて言えるのは「マルチタスクの処理がものすごく早い人が多い」点です。例えば講演会企画を進めていたとして、所属員が10人いれば必ずどこかのタイミングでトラブルがバッティングしたり、おサイフを見ながら優先順位付けしなければならないことになったり、対応しなければならないことが次々と舞い込んできます。

そうしたなかでも自分のロジックや判断軸をしっかり持っている方が多く、一つのことをとことん突き詰めるよりかは並行していろいろな処理が出来る人が、所長に向いていると言えます。

 

自分の時間をある程度削ってでも、現場に立ちたい!そういった人でないと難しいかもしれません。MRの情報提供ツールとしてはメジャーな講演会ですが、どの講演会にも現場責任者が必要です。講演会は、開業医の医師が集まりやすい時間帯に開催する必要があるので、どうしても夜や休日開催になりがちです。したがって、講演会企画が多くなってくればくるほど、所長のプライベートの時間も減っていくことになります。

 

学術・研修担当部署

エリアの担当者として現場を回ることから離れ、アカデミックな情報を収集し、MRへ還元することでMRを支援する部署です。学術担当者の場合は、各種学会に出席して最新のエビデンスを収集するという業務があります。現場MRは主に自社製品情報を中心に知識を蓄えますが、学術担当者は疾患や病態の知識であったり、時には最新の術式の知識を取り入れたりと、その領域のスペシャリストになります。自分の担当エリアを持っているわけではないので、普段は医師と話し込むことはありません。しかし、トップKOLと言われるような「その領域に発言力のある医師」に対して情報提供をしたり、逆に教えていただいたりする際に、現場MRと同行という形で医師と面会することもあります。

 

一方、研修担当者は、その名の通りMRにとっての先生ですね。学術担当者がMRのプロモーションに活用できるデータなどをまとめ、研修担当者へレクチャーします。その後、研修担当者がMRにレクチャーして、話法や活用データを水平展開していく、というような流れになります。疾患・病態の知識ももちろんですが、現場で自社医薬品のPRに使えるような話法を展開する必要があるので、どちらかと言えば製品軸での知識研鑽が多いです。

研修担当者になると、もはや担当エリアに出ることはありませんので、内向きの仕事オンリーということになります。研修用資材を作成することが、日々の業務の中で多くのウェイトを占めています。

 

学術担当者には「知的好奇心が強く、忍耐力のある人」が向いていると思います。一つの領域をとことん調べ上げ、時には何時間でも論文と向き合うことが業務です。これはどういうことなんだろう、なぜなんだろうと考え続けることが好きな人は、学術担当者向きかもしれません。

研修担当者は、ある程度「ファシリテーション能力」と「プレゼンテーション能力」に長けた人が向いていると思います。大事な製品研修だとしても、そう何度も何度も時間をとれるわけではありません。決められた時間内にMRへレクチャーして理解させるタイムマネジメント能力が問われます。さらには現場ならではの疑問や意見(適応外使用や、研修テキストには載っていないようなもの)が多数寄せられるのが常です。そうしたMRへの疑問や意見に的確にこたえる力が求められます。

特約店(卸)・流通関係部署

医薬品卸との施策のすり合わせや、卸から債権を回収したりする部署で、ある意味MRよりも営業らしい部門です。MRは得意先から債権回収をすることはありませんから。

 

卸施策と呼ばれるイベントを企画して推進していくというのが主な業務ですね。例えば製品Aの売上を伸ばすために、「新規採用施設1軒につき、5,000円の報奨金をお支払いします!」といった形で医薬品卸に依頼します。利益率1%と言われる厳しい医薬品卸業の貴重な収入源になりますので、こうしたイベントごとをうまく組み立てると、現場MRとしても活動しやすくなります。

 

また、流通に絡む業務として、「欠品時対応」や「割り当て数量の調整」といった業務も重要です。あまりあってはいけないことですが、生産部門でトラブルが発生してしまったり、一部のロットで不良品が見つかったりした場合に、いち早く対応するための調整を行います。

 

製薬会社対医薬品卸、組織対組織の決め事を調節する部門なので、圧倒的な「交渉力」と「企画力」が求められます。企画次第で会社の売上に大きく影響する業務が多く、責任も重大です。コロナ禍により(一時的に?)無くなっていますが、卸各社とのゴルフコンペや会食が多く、こういったところもMRより営業らしいところですね。現在では少し薄れてきましたが、ひと昔前はこの部署こそが最高の出世ルートと言われていました。ここを経由して所長へ、というルートが多かったようです。

営業支援関係部署

営業で使える資料を作成したり、eコンテンツを作成したりする部署ですね。長年同じエリアを回っているMRだったとしても、「売り上げ実績が少しずつ減り続けている施設」や「剤型や規格が変更されている施設」をすべて即時気付けるかというと、そういうわけではありません。そうした要注意施設を管理しやすく加工して配布したり、どこでどう活動すればいいか判断する時の材料を作ったりする業務です。

 

現場MRからこうした部署に行くケースはあまり多くはありません。というのも、求められるスキルがITスキルであることが多く、現場で華々しい実績をたたき出したからここでも通用するかというと微妙なところがあります。

ただ、eコンテンツを作成したりする部署であれば、「こうしたコンテンツこそ現場で求められている」という感覚が分かりますので、経験を武器に出来ますね。

実際に僕の周りでも、大学病院担当のチーフがeコンテンツ作成部署へ異動になったケースがあります。現場感覚が分かったうえで、ソフトウェア関係の知見もある方が向いていると言えます。

まとめ:選択肢が増えるようなキャリアプランを

いかがでしたでしょうか。もちろんこれ以外にも営業畑で様々なキャリアプランがありますが、身近なところではこの辺りかなということでまとめてみました。向き不向きはありますが、僕としては将来の選択肢が増えるように意識して業務に取り組みたいと思います。

 

最初から「絶対に研修担当者になるんだ!」と追いかけるアツイ人も好きですよ。ただ組織改編がいつどうやって起こるか分からないですし、選択肢を狭めずに持ち続けることが大事だと思います。そういった意味で、MRとしての経験を積んでいきながらそれ以外の力もつけていきたいと思うわけです。英語力やプログラミング力、マネーリテラシーといった力はつぶしがききますから、今後も高めていきたいと思う僕なのでした。