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コロナワクチンの副反応報道と"オオカミ少年"

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今日もお疲れ様です。

新型コロナウイルスに対するワクチン接種が始まり、

経済も回復してくるんじゃないかという明るい雰囲気になってきましたね。

高齢者への接種が、いよいよ4月12日から始まります。

 

今回はワクチンの副反応に関する話題と、

報道に関する僕の意見を書いていきます。

(目安:3分)

【目次】

新型コロナウイルスワクチン

国内初の副反応報告

2月に入っていよいよ医療従事者へのワクチン接種が開始されました。

すると早速、こんな報道が飛び込みます。

 

新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、政府は医療従事者向けの先行接種が始まった富山県の病院で、副反応の疑いがある、じんましんの発生があったと公表しました。国内での接種で副反応の疑いが公表されるのは初めてです。

 

 こちらは2月20日にNHKから報道された記事の抜粋です。

医薬品でありワクチンですので、まあ蕁麻疹くらいは

当然出るでしょう、というのは個人的に思うところです。

 

もちろん、接種された当人はご苦労をされたかと思いますが、

接種されたのは医療従事者でありますし、心構えというか

「まあ、あるよね」といったイメージは持っていたのではないかと

想像しています。

 

ただ一般の方からしたら、そもそも副反応がどういうものかなんて

日常生活で触れることもありませんし、

蕁麻疹が出ることもあるよ!」

第一報で情報を広める意味はあると思います。

 

医療に関することですので、

「正しい情報を正確に伝える」ことには賛成です。

ただ特に最近はその頻度と程度が過剰な気がしているんですよね。

 

 

ついに死亡例も

かなり大々的に報道されていましたので、

ご存知の方も多いかと思います。

 

厚生労働省は3月2日、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種後に1例の死亡例が報告されたと発表した。60代の女性で、報告者によると死因はくも膜下出血と推定されると報告されているという。因果関係は「評価不能」としている。

 

こちらは3月に入ってからの報道です。

各種メディアも「待ってました!!」と言わんばかりに

一斉に報道していましたよね。

 

普通に読んでいたら直接の死因がくも膜下出血ですので、

「これワクチン関係ないんじゃ…?」と

思われますよね。

個人的に、この事例をワクチン接種後の死として

ピックアップすることには違和感を覚えます。

 

僕はMRとして医薬品情報を扱う仕事をしていますので、

「この死亡がワクチンと関係ないとは言い切れない」ということも

理解しています。ただ、こういった情報のリテラシーに関しては

個人差が非常に大きいと思います。

 

ワクチン=死亡するかもしれない」と誤解を与えるような報道には

正直少しあきれておりました。

 

"副反応"の意味を伝えるべき

有害事象とか副反応という言葉が、

因果関係を否定できないすべての有害事象」を表していることを

もっと強く伝えるべきだと思うんですよね。

 

確かに、僕個人もこの業界に入るまでは

「副作用=薬が原因でごくまれに起こるもの」という認識でした。

 

ただこの仕事に就いて、

「薬が原因であると否定できなければ、全て報告」

というルールを知りました。

今でこそ添付文書などで副作用を見た時も

「まあこれは関係ないだろうな」と思えるようになりましたが、

一般の方、特にSNSやインターネットよりも

ワイドショーから情報を仕入れることが多い中高齢の方は、

メディアの伝え方一つですぐ影響されてしまうと思うんです。

 

接種が始まってしばらく経っているんですから、

外れ値のような1例を報道するのではなく、

統計的な確率の話などをしてほしいな、と常々思います。

 

 

これまでの報道も含めて

ダイヤモンドプリンセス号が注目されていた頃

世界的なパンデミックで無かった頃のメディアの報道は、

今よりもひどかったように思います。

当時は確かにデータも少なかったですし、感染症ですからね、

過度に不安を煽るのもある意味正しいのかもしれません。

 

一方で、感染症なわけですからある一定の確率で

誰でも感染するリスクはあるわけです。

にもかかわらず感染者を犯罪者のごとくやり玉に挙げる報道は

すごく嫌でした。

 

今でこそ社会的にも理解が進んできて、

いくらかマシになっていると思います。

 

煽りすぎた結果の"オオカミ少年"

正しい情報を正確に伝えることは賛成ですが、

頻度と程度が過剰じゃないか、と上の方でも書きました。

 

ある時期、「今日の東京の感染者は○○人で~」という報道が

毎日のように繰り返されていたことがありましたよね。

人数の報道は傾向を知るうえで大事だと思います。

しかしやたらと過去最高を更新しました

言いたいだけのようにも思えてしまったんですよね。

 

"今日は東京都が過去最高"

"今日は月曜日として過去最高"

"今日はアメリカが過去最高"

 

いや、その情報いる!?

 

不安を煽ることで不要不急の外出を自粛して欲しい、

そんな思いもあるのでしょう。

しかし、あまりに連日、過去最高ばかり報道されていては、

一般市民の感覚もそりゃあ麻痺してきますよ

 

2回目の緊急事態宣言の時に、

「多くの人の気持ちが緩んでいます」

なんて報道もありましたが、僕としては

「あなた方オオカミ少年が煽りすぎただけでは?」と思っています。

 

記事を書く人も、視聴率を取るために

不安を煽るような記事を書かないと仕事がなくなるという

現実的な話もあるんでしょうけどね。