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【泥船?】プライマリー領域の医薬品担当MRの将来性について考える

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今日もお疲れ様です。

今回は、プライマリー(生活習慣病)領域を主に担当しているMRの将来性について、

肌感覚で感じること・思うところを書いていきたいと思います。

 

(目安:3分)

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【目次】

環境変化

ITツールの登場によって

コロナウイルスによる活動自粛を余儀なくされた2020年春ごろには

「まあ今年(2020年)の夏ごろには落ち着くでしょう。オリンピックも予定されているし。」

なんていうムードだったなあと思い出し、少し懐かしんでいる今日この頃です。

 

緊急事態宣言下でもZoomなど各種Web会議ツールを使いながら、

徐々にMR活動を回復させてきたところかと思います。

最初は皆手探りで、

「なんかログイン出来ないんだけど」という"お父さんMR"も

どこの会社さんにも多かったのではないでしょうか。

やたらハウリングさせていましたしね。

 

2021年に入ってもなお、Web会議ツールを使った会議体がメインになっており、

個人的には移動の手間もなくメールチェックしながらでも聞けるので

大変快適に感じています。

 

一方、ITツールの登場によってMR活動にはどんな影響がありましたでしょうか。

例えば開業医担当であれば、診察時間の前後にクリニックを訪問して

情報提供することがほとんどだったかと思います。

開業医の先生方からしても、少なからず

「せっかく来てくれたし、話くらい聞いてやるか」

くらいの気持ちはあったように思います。

世間話や医師同士の裏話なんかをしていくなかで関係性が構築され、

このMRさんの薬だったら使ってやるか!」なんていう

処方化の流れなんかもありましたよね。

 

ところがオンライン面会という形式となると、

まず先生方は面談のための時間をわざわざ確保しなければならなくなります。

全面会がアポイント制になるわけですね。

実際、今までかかりつけの先生方は、自分の業務のスキマ時間を使うという形で

MRとの面会をしてきたわけで、それをわざわざ

面会のための時間を自分から作りに行くというのはかなりハードルが高いです。

 

プライマリー領域の薬剤は、確かに様々な臨床研究によって

良いデータ悪いデータ数多く出てきます。

しかし、実臨床での効果の違いなんてほとんど誤差の範囲ですし、

であれば使う薬は「よく来てくれるMRの薬」になってしまっても

おかしくないわけです。

 

感染症拡大前の通常面会でこそプライマリーの薬剤の拡大は

ある程度容易でしたけど、今となっては大きなシェアの変化というのは

ますます難しくなるのではないかと考えています。

 

 

 

ますます厳しくなる"情報提供ルール"

販売情報提供活動ガイドラインをご存知でしょうか。

業界で働かれている方はご存知の方も多いと思いますが、

要は宣伝文句を縛っているガイドラインですね。

 

医薬品の適正使用を捻じ曲げるような営業活動を

させないようにすることを目的としていますので、このルールによって、

臨床試験で明らかとなっているデータがあることしか話せません。

 

例えば同じような他社製品との違いを話すことは出来ませんし、

自社の医薬品であってもデータが無い使い方については

データがありませんのでお答えできません」の一点張り。

 

実臨床では同じ症状の患者さんはいないわけで、

合併症治療のためにあらゆる併用薬を飲まれていることが多いです。

先生方は「この薬と併用したらどうなの?」とか、

「この合併症にも使えるの?」とかが気になっているんですよね。

 

そこに対して提案も出来ませんし、先生からしても

「それじゃあ今までの使い慣れたやつでいいや」

なってしまうわけですよね。

 

ルールの中でなんとか情報提供をしている現在ですが、

監視の目も厳しくなっているのも事実です。

ルールを逸脱するMRが出てくるたびにどんどん厳しくなっており、

今後も緩和される見込みがない以上、

プライマリー領域での情報提供は難しくなるだろうなと思います。

 

卸MSさんの活躍とジェネリック医薬品の台頭

 

自社医薬品に特化した研修や情報提供がメインのMRと比べて、

卸MSさん は医薬品情報を本当に広くご存知ですよね。

 

MSさんと同行させてもらってクリニックを訪問しているときなんかは、

僕が全然知らない薬についても先生と話し込まれていますし、

生活習慣病を広く診ている医師からしたらMSさんの方が話甲斐があるように思います。

 

もちろん新薬発売時などはメーカーでないと話せないこともありますので、

そういった場面ではMRと話したいと思う医師も多いでしょうね。

 

ただ、プライマリー領域での薬剤が出そろいつつあるなかで、

かかりつけ医でのMRでのプレゼンスは、MSさんに勝てないのでは?と思います。

 

加えてジェネリック医薬品もかなり増えてきましたよね。

国としてもジェネリック医薬品使用促進の流れを止めないでしょうし、

ますますプライマリー領域の先発医薬品メーカーへの風当たりが

強くなっていくと思います。

 

 

今後のMR活動への影響は?

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プライマリー領域MRは不要なのか

「MR不要論」や「MR過剰論」は確かに言われております。

ITツールなど新しい活動手法を取り入れていくことで、

MRの総数が減ってしまっても、それはそれで仕方のない事なのかもしれません。

ここまで、肌で感じる業界の厳しさ的なことをつらつらと書いてきましたが、

とは言えこのまま直線的に減っていくとは思いません。

 

大手製薬企業を中心に、主力の疾患領域を絞っていくケースが増えてきました。

今後は遅かれ早かれ選択と集中による領域再編が進んでいくものと思います。

製品一般の知識を広く浅く知りたいときはMSさんの力を借り、

プライマリー領域でもコアな話し込みはメーカーMRに、という住みわけ

進んでいくような気がしています。

 

さらにもう一つの理由として、かかりつけ医の新陳代謝を考えています。

日本国内における医師の総数は増え続けており、今の開業医も高齢化が進んでいます。

今病院で勤務されている若手医師も、いずれ町医者として

開業することを夢見ている方もいらっしゃいますよね。

そういった若手開業医への、製薬会社としての窓口は

今後も必要だと思います。

 

特に今の若手医師はデジタルネイティブで、新しい情報提供にも

積極的に応じて下さる可能性が高いのではないでしょうか。

さらにバブル期のような「接待で薬を決める」というよりかは、

「EBMに乗っ取った薬剤選択」を履修されてきた方々です。

 

人付き合いだけでなくしっかりとした情報提供によって使う薬を決める。

であれば専門的な情報を提供できるMRが必要になる、そう考えています。

 

 

 

力のあるMRになるために

いかがでしたでしょうか。

業界の再編や人員整理が必要になるかもしれない一方で、

やはり能力のあるMRは残っていく、そんな時代になると思います。

 

学術的な知識を高めて選ばれるMRになる!というのも素晴らしいことだと思います。

僕個人としては、そういったMR力の強化に加えて、

MRという仕事のあり方が根本から変わった時に生き抜く力

身に付けたいなと思っています。

マネーリテラシーであったりプログラミングや英会話であったり。

 

製薬業界に限らず、副業や兼業が認められつつあります。

そういった環境変化に合わせて、「稼げる個人」になりたい、そう思う今日なのでした!