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「ジェネリック医薬品を推す薬局さんの大変さ」を語る 第1回:ジェネリック医薬品メーカーについて

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今日もお疲れ様です。小林化工問題や日医工問題と、ジェネリック医薬品メーカーに関する不祥事が立て続けに報じられましたね。先発医薬品メーカー勤務の僕としては、複雑な心境です。今回は、ジェネリック医薬品をテーマに、薬局さんにスポットライトを当ててご苦労を書いてみようかなと思います。

 (目安:2分)

 

【目次】

ジェネリック医薬品ビジネス

ジェネリック医薬品は薬局の収益源

ジェネリック医薬品については、ここ最近でかなり知名度も上がってきたかと思います。各種メーカーがテレビやラジオで宣伝していますよね。僕も現在は関西圏に住んでおりますので、営業車でFM802を聞いておりますが、いつもお昼の「サワイ製薬 ハートフルボイス」を聞きながら担当エリアへ向かっております。笑

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「いただきま~す」っていう、アレです。笑

さてそんなジェネリック医薬品ですが、なぜ調剤薬局の薬剤師さんは積極的にジェネリック医薬品を推してくるのでしょうか?ものすごくシンプルに書くと儲かるからなんですね。

薬局に薬を貰いに行ったとき、明細書を受け取るかと思いますが、「調剤基本料」という明細が入っているのをご存知でしょうか?その名の通り、"基本料"なので誰でもかかる部分です。もらう薬が高かろうが安かろうが、来局回数が多かろうが少なかろうがかかるのです。

 

ジェネリック医薬品の使用比率が高い薬局では、この基本料に上乗せできる優遇があるんですね。国としても社会保障費の拡大を抑制したいという観点から、なるべく安いジェネリック医薬品を使ってほしいわけです。なので厚生労働省は、この基本料を操作することによって、ジェネリック医薬品の普及率を高めようとしています。薬剤師さんが、調剤薬局に持ち込まれた処方箋医薬品のうちジェネリック医薬品があるものを「安い薬に変えませんか?」と必死に推してくるのはこういった理由からなんですね。

 

自己負担はどのくらい変わるの?という話ですが、薬局のジェネリック医薬品比率が何%かによって全然変わってきます。一番高いもので85%以上の比率であれば最大の加算がとれます。一方で使用比率が極端に低い薬局では、調剤基本料の減算もありますので、なおさら薬局さんは必至ですよね。3割負担の方で、1回あたり30円前後でしょうか、自己負担が変わる計算になります。詳しくは厚生労働省ジェネリック医薬品協会などのサイトをご覧ください。この比率のボーダーは徐々に吊り上げられており、それだけでも薬局さんのご苦労が分かりますね。

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患者一人あたりの窓口負担は10円20円の差ですが、

来局患者が1か月で延べ1,000人なら、それだけで数万円の差になりますね。

 

ジェネリック医薬品のビジネスモデル

では、国からも全力でバックアップされるジェネリック医薬品メーカーさんは、どういった形で利益を上げているのでしょうか。一言でいえば「薄利多売ですね。

まあこれは皆さんご想像の通りかと思います。医薬品ビジネスは特許ビジネスです。1社独占販売が出来る特許期間が切れた医薬品を、10社も20社も束になって一斉に発売するわけですから、そりゃあ価格競争になりますよね。

【表:主要ジェネリック医薬品メーカー 20年3月期決算短信より抜粋】

  売上高 営業利益 営業利益率
沢井製薬 140,266 23,944 17.07%
東和薬品 84,405 14,122 16.73%
日医工 142,162 6,891 4.85%
    (単位:千円)  

上記は各メーカーの20年3月期第三四半期決算をまとめたものです。なぜ第三四半期なのかというのは、今現在で発表されてる決算短信が第三四半期のものということです。さらになぜ20年度なのかというのは、21年度版ですと日医工がとんでもなくへこんでいるのであまり参考にならないと思ったからです。直近数年で、傾向としては大きくは違わないのでご了承ください。

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え、ジェネリックって結構利益率いいんだ!?

なんて驚きますよね。ただこれでも徐々に徐々に減少してきているんですよね。2013年時点では20%を超えていたのですが、度重なる薬価改定価格競争の影響で、右肩下がりの傾向が続いております

どうしても「経費を抑えて利益を上げる」というビジネスモデルになってしまいますよね。参入企業も増える中で、じり貧になっています。

それでも、発売してからの初動でどれだけのシェアを取れるかがカギになるわけですから、発売当初の値引き率は考えられないくらいの数字です。すごいところだと薬価の半額より安い品目もザラだとか…。もう身を削りすぎですって!

こういった経営体制であったり財務体質なんかも複雑に絡み合った結果、様々な不祥事を引き起こしてしまったのかなあなんて思います。次回はそのあたりも含めて書いて行けたらなあと思います。

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医薬品は、安定供給も大事なミッション!

第2回:"粗悪"なジェネリックとは?

今回はジェネリック医薬品メーカーのビジネスモデルの話を主に書かせてもらいました。念のため書いておくと、ジェネリック医薬品は悪!なんていう風には思っていません。僕もお世話になってますし、ものによってはジェネリックの方がいいなんていうものもありますしね!

ただ、どうしても安かろう悪かろうになってしまう部分があるわけで、次回はそういったところを書いてみようかなあなんて思っています。

 

 

mrtofire.hatenablog.com

 

ここまでお読みいただきありがとうございました!