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薬学部を出たのに薬剤師にならなかった4つのワケ

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今日もお疲れ様です。

現役MRのとつばりと申します。

(目安:5分)

 

ご覧いただきありがとうございます。

まずは簡単に大学に関する自己紹介をいたします。

僕自身は関東圏のとある6年制薬学部を卒業しております。

高校生の時から化学が好きで、それを極められる分野で、ということで

薬学部進学を決めました。

入学してからは「卒業したら薬剤師になるんだ!」とわくわくしていましたが、

大学5年生の時に、就職先として薬剤師ではない道を決意。

その4つの理由を書いていきます。

 

【目次】

 

 

1.職場環境

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前置きとして申し上げますが、薬剤師の実務経験はありません。

あくまでも実務実習や就活中に先輩方から聞いた話であったりOBOG訪問をする中で

僕が感じたことを書いていきます。

 

業種ごとの細かいところは下にまとめていますが、総じて

「この業務内容で、かつ閉鎖的な環境のなか一生働き続けるのはしんどい!」

と思ったのが、大きな理由です。

病院薬剤師

「アンサング・シンデレラ」というドラマをご存知でしょうか。

2020年に放映された、石原さとみが病院薬剤師役を演じた医療ドラマですね。

学生時代の実務実習でしか病院の中に入ったことはありませんでしたが、

かなり再現率が高いと思います。

調剤室はいつも戦闘状態。食事をとる時間も呼び出しがかかり、

次から次へと下りてくる業務を、いかに効率よく捌いていくかが求められるという印象です。

もちろん当直や宿直もありますので、決まった休みを取りづらいという

デメリットはありますが、最先端の医療知識を身に付けられたり、

本当の意味での薬の専門家を目指すのであれば、最適な職場環境だと思います。

 

学術的知識と経験に関しては、学生自体の時からしても非常に魅力的でした。

ただ、「自分の時間」に対するプライオリティが高い僕としては、

時間の融通が利かないという減点が大きかったです。

薬局薬剤師

個人薬局の場合と大手チェーンドラッグの場合とでは

色々と変わってくるかと思います。

僕の場合は学生時代の実務実習で個人薬局にお世話になりました。

勤務時間については、薬局の営業時間+αですので、

夜勤も無ければある意味休日も固定です。

労働時間という観点で言えば、病院薬剤師よりも僕向きに映っていましたね。

ただ、人間関係の当たりはずれが大きいなと感じたところもありました。

 

.やりがい 同じ"箱"の中でも触れていますが、

比較的小さなコミュニティであることがデメリットとして感じてしまいました。

調剤薬局の中のスペースとしては、もはや調剤室が全員の居場所であり、

人間関係が過ごしやすさに直結します。

個人的にはそういった観点から、「薬局薬剤師もちょっと違うかなあ」と

考えていました。

 

 

ドラッグストア薬剤師

実習先としていくことは無かったですが、就活の時のイメージとしては

「とにかく給料がいい!」ということでした。

新卒薬剤師向けの求人のみならず、「アルバイト募集:時給3,000円」

なんて広告も目にしますよね。

 

ただご想像の通り、薬剤師業務以外にもドラッグストア店舗業務が付きまといますよね。

6年間勉強してきてそれは、かなりもったいないのではと思ったのが大きいです。

薬の専門家としての仕事に就きたいと思っていた僕としては、

就活の時点からドラッグストア薬剤師は候補になかったので、

語れるほど詳細には業務を知らない、というのが本当のところです。

 

社会人になってから調べてみると、エリアマネージャーなどのキャリアプランもあり、

それはそれで面白そうだなと今は思っています。 

 

2.給与体系

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職業全体の中では「高給取り」「安定した収入」というイメージをお持ちの方も、

多いのではないでしょうか。

個人的には「6年間大学に通って、こんなものなのか…」というのが率直な印象でした

今でこそ収入の多さだけでなくコストパフォーマンスのいい収入こそが大事だと

思うようになっていますが、学生時代は年収至上主義だったので、

実務家薬剤師に魅力を感じなかったですね。

 

"初任給"だけで決めていいのか

割と声を大にして言いたいですね。

就活の時から周りの友人らは

「どこの薬局にするの?あ、そこ初任給いいよね!」

 という会話が多かったように思います。

 

学生アルバイトで月に1万円増やすのがやっとの世界から比べたら、

初任給だけで1万円も違うというのは、とんでもなく魅力的だったかと思います。

ただご存知の方も多いと思いますが、薬局薬剤師の年収の頭打ちって早いんですよね

初任給こそ高いかもしれませんが、生涯賃金で考えた時に、

「全然もらえないじゃないか…!」と驚愕していました。

もしこの記事を読んでくださっている、これから就活する薬学部生がいらっしゃったら

ぜひお伝えしたいです。

「初任給よりも、もっと自分が大事にしたい要素で薬局さんを探してください!」

 

キャリア等級と昇給

病院実習の際に、勤務されている薬剤師さんに見せていただいたことがありました。

よくある、縦軸と横軸とに分かれている、等級のやつですね。

1年ごとに級があがって、ある程度の実績が認められたら職務ランクが上がることで

昇給テーブルがさらによくなるっていう。

 

病院薬剤師の昇給の幅の小ささに同情したほどでした。

この業務量でこの賃金とは…。

個人薬局で実習させていただいていた時に、経営されているご夫婦薬剤師に言われた

「薬剤師夫婦じゃ、子供を薬学部に入れられない」

という言葉を思い出しましたね。

 

収入に影響を与える外部要因

収入源にもなる来局患者さんが、処方元医院次第という宙ぶらりんな状態

そして何よりも「調剤報酬」という制度の存在。

 

医療保険という国に守られたビジネスであるともいえますが、

あまりにも生殺与奪を外部要因に握られ過ぎている気がしていました。

どこでもいいからただ雇われるだけでよし、ということであればいいのかもしれませんが。

 

3.やりがい

 

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 教科書的にみれば、「服薬指導やアフターフォローなどを通じて、

患者さんの健康な暮らしを支える、医薬品のスペシャリスト」といった感じで

ものすごくやりがいを感じそうです。

実際、入学してから就活をするまでの間は、ものすごく憧れていましたし

絶対に一流の薬剤師になる!!そんな心意気でした。

 

ただ、同じコミュニティの中で毎日同じことの繰り返しであり、

何よりも「絶対にミスをしないよう、何度でも石橋を叩く」というような

お役所仕事的な一面が見えてしまって、これをずっと続けるのは

本当に自分がやりたかった仕事なのだろうか、そう思うようになっていました。

同じ"箱"の中

薬局にしても病院にしても、一つの職場ですべてが完結する仕事です。

まあこれは薬剤師に限らず、あらゆる事務さんとかパン屋さんなんかも

該当するのでしょうが、薬剤師業務という観点で見るとものすごく窮屈に感じました。

 

例えば、薬局薬剤師の1日の業務の流れを見てみましょう。

出社後、薬歴や申し送りの確認。営業開始してからは調剤と服薬指導業務。

もし疑義照会が必要な事項があれば、すぐに処方元医師に確認。

在宅療養中の患者や施設へ持っていく薬剤をまとめて調剤し、

一包化調剤が上手く出来ているかを確認。

午後はよく処方される予製の在庫を確認。

最後に薬歴入力、という流れがあるかと思います。

 

この一連の業務に対し、業務の自由度がものすごく低いように感じました。

 

要するに

「仕事は、おりてきたものを順にこなしていく。」

「医療ミスにならないように、ひたすら確認に確認をし続ける。」

「来る日も来る日も、同じ箱の中で。」

という風に映ってしまったんですね。

医療スタッフ内のヒエラルキー構造

 あくまでも医師の下であるという立ち位置は、今後も変わらないと思います。

これはもう処方権の問題もあるので仕方ないですね。

 

僕も在学中は

「薬のスペシャリストとして、医師と熱いディスカッションを交わせるようになる!」

と思っていたことがありました。

医師に対して処方提案をすることは、薬剤師の立派な業務の一つであり、

やりがいのある仕事と思います。

ただ現場はどうしても医師に処方変更を"お願い"する立場であり、

医師からしたら「こだわりある処方にケチをつけるのか」と

思われてしまうものなのでしょうね。

 

医師と薬剤師の間にある超えられない壁を感じてしまい、

そこにも一つの窮屈さを覚えてしまいました。

 

もちろん、病院でばりばり活躍されている認定薬剤師や専門薬剤師の方もいらっしゃるので、

そういった制度を取り入れながら医師から一目置かれる薬剤師になるというのも、

素敵なことだと思います。

 

4.将来性

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入学当初は「薬や医療は無くならない。だから絶対大丈夫」

なんて思っていました。

需要のあるなしだけで判断してしまっており、

「代替となるシステム」や「技術の進歩」などを考える力が無かったんですね。

 

薬剤師業務のリアルな一面を、実務実習を通じて肌で感じたことで、

結果としては薬剤師にならないという道を選択するに至りました。

薬剤師の需給バランスと偏在

薬学部新設ラッシュによって、薬剤師の共有量は大幅に増えたことが知られています。

一方で、医薬分業に伴う薬局数の増加やドラッグストアの新店拡大に伴い、

需要も増えているといわれておりました。

 

日本全体で見ると、薬剤師は足りないから大丈夫!なんていう声もありますが、

足りていないのはあくまでも地方の病院であり、都市部はすでにピークです。

加えて、調剤薬局数を大幅に減らしていくための施策を、

今後国の方から打ち出されていくことが明確というのも懸念材料ですよね。

 

僕が就活をしていた数年前の段階でも、

「国家資格の医療従事者だから安泰」とは言えない時代という認識はありました。

一生モノの仕事、としての魅力は薄いかなあなんて思っていましたね。

 

 

テクノロジーの進化と業務の変化

AIの登場によって仕事がなくなるんじゃないか!?なんて言われていましたが、

薬剤師自体はAIの進歩によってもなくならないと思います。

 

ただ、調剤業務やピッキングなどは、たかだか実習生の分際でも

「これ、別に人がやらなくていいよな…」なんて思っていましたし、

最近になってテクニシャンの有効活用も取り沙汰されていますよね。

 

こういった観点からも、長い目で見た時に

薬剤師の立場が相対的に低くなっていく未来が見えたため、

薬剤師としての就活をしなかった、という感じです。

 

【最後に】「新卒カード」を大事にしよう

 

 いかがでしたでしょうか。

改めて就活の時の気持ちを思い出しながら業界全体を俯瞰していましたが、

あの時の選択は間違っていなかったなと思っています。

 

今はMRとして一般企業に勤めておりますが、

一番よかったなと思っていることは「新卒カード」をうまく使えたところです。

大学卒直後は、呼ばれ方こと新"社会人"ですが、社会のことなんて

ほとんど何もわかっていませんよね。

にもかかわらず、就活においては新卒であるというだけで、

かなり下駄をはかせてもらえます。

 

薬学部生に限らず、これから就活を始められる方やまさに今取り組んでいる方が

ここまで読んでくださっていたとしたら、ぜひ新卒カードを有効活用してください!

人生に1度しか使えない切り札です。

 

ではまた!