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「ジェネリック医薬品を推す薬局さんの大変さ」を語る 第3回:翻弄される薬剤師

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今日もお疲れ様です。ここまでで2回書いてきたジェネリック医薬品と薬局さんの苦労について、最後の章となります。小林化工問題や日医工問題を受けて薬局さんがどんな苦労をされているのか、MR目線で書いていきます。

(目安:2分)

 

 もしよろしければ、前回の記事もご覧ください。

 

mrtofire.hatenablog.com

 

 

【目次】

小林化工・日医工の問題

小林化工問題って?

2020年の12月に発覚した問題で、ご存知の方も多いかと思います。

イトラコナゾールという水虫などの治療薬(抗真菌薬)に睡眠薬の成分が混入し、服用した患者のうち2名が亡くなってしまうという事件でした。ずさんな生産管理やコンプライアンスの意識欠如など、関係する要素はいろいろあるかと思います。小林化工はこの一件で、116日間という業務停止命令を受けています。

日医工問題って?

こちらもご存知の方も多いかもしれませんね。製造過程で不適合となり、その先の過程には進めないはずの加工品を、国の承認を経ていない方法で「適合品」として生産していた、という問題です。富山県から約1か月間の業務停止命令を受けています。

しかもなんて10年以上も前からこの違法な処理が実施されていたとのこと。

こちらもずさんな管理体制が背景にあるかと思いますが、個人的には

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よく行政の査察をパス出来たな、、、10年間も、、、

と思います。というか行政の査察もどういうクオリティだったのか疑問です。

ジェネリック医薬品への風当たりは強くなっている

2020年末から2021年初めにかけて、ジェネリック医薬品絡みの不祥事が立て続けに起こっています。それもあってなおさら注目を集めているのだとは思いますが、実は1年2年くらい前から業界内では

「またか、ジェネリック医薬品

というような事例はいくつかありました。

細かい内訳は書きませんが、ここ最近になって自主回収」や「発売間に合わず」な事例が増えているなあと実感しています。先発医薬品の特許切れがジェネリック医薬品のGOサインでもありますので、大型新薬の特許が続々と切れると一気に忙しくなります。ただ、生産ラインは物理的にも限りがあるわけで、ジェネリック新製品を作ろうにもそういったサプライチェーンとの兼ね合いも考えなければなりません。

 

そこで、「大型新薬の特許が切れるぞ!申請いそげ!」といった具合で製造販売承認を取得したはいいものの、安定供給体制が確保できずに "ゴメンナサイ" 案件、、、

大手薬局チェーンなどで一括して採用品目を決めているところなんかは、もうてんやわんやですよね。発売日に物がないという。

 

こういった出来事が起きた時、卸MSさんとも話をするですが、

日医工のところじゃない他のジェネリックを持ってきて」

と得意先に言われて大忙しだそうです。そうなると、代替品として持って行ったメーカー品も予想を上回る需要に生産が追い付かず、代替品も欠品に…そして卸MSさんも怒られ、対応に終われ、、、なんていうスパイラルに陥ってしまうんですよね。

翻弄される薬局さん

結局のところ、「物がない」時でも「ジェネリック医薬品の品質に問題が発覚した」時でも、最前線で対応に追われるのは薬局薬剤師さんなわけですよね

 

国からは 

ジェネリックを使え。さもなければ減点するぞ」

 

と言われて一つ一つ積み重ねて85%を目指しているのに、

 

患者さんからは 

ジェネリックって危ないんでしょ。先発にして」

 

と言われる始末。

薬局も小売業という意味では医薬品の仕入れと販売で差益が取れるというビジネスでもありますが、収入源の多くは調剤技術料であったり在宅医療にかかる調剤報酬であったりと、保険制度ならではの収入体系です。というか、ぶっちゃけ医薬品販売の差益だけでやっていける薬局なんて存在しません。そうした中で貴重な収入源にもなるジェネリック医薬品が起こした不祥事により、ジェネリック医薬品の信頼が失墜。薬局さんも巻き添えに。

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ただでさえ受診抑制で収入が減っている中で、

まさに泣きっ面に蜂、、、

まとめ

いかがでしたでしょうか。ジェネリック医薬品すべてを否定するつもりではありませんが、ここのところの不祥事によってジェネリック医薬品の信頼は落ちてしまっています。業界の外にはあまり出ていかないような、安定供給に関する報道も含めると、皆さんが思っている以上にジェネリック医薬品のごたごたは多いです。

第2回では、市場に出回る粗悪なジェネリックの話題にも触れました。自分に合うジェネリック医薬品に出会えた方は素晴らしいと思います。もし自分に合っていないのかな?なんていうジェネリックがあったら、処方医や薬剤師に相談してみるべきだと思います。

 

 

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読んでくれてありがとうございました!