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5年間経験して分かったMRの"リアル"

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今日もお疲れ様です。

現役MRのとつばりと申します。

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MRになって分かった理想と現実の違い

そのあたりを書いてみようと思います!

(目安:5分)

 

 

緊急事態宣言や感染対策などさまざまな理由から、

おうち時間が増えたという方も多いのではないでしょうか。

僕自身もかなり増えまして、ありがたいことに勉強や読書に打ち込んでおります。

Youtubeなどの動画サイトを見る時間も格段に増えているのですが、

最近みたコンテンツに「証券マンが語る証券会社の裏話」的なものがありました。

外部の人間からすると経済の最先端を行くエリートサラリーマンなイメージがあるのですが、

実際はものすごく泥臭くて、なんだかシンパシーを感じたんですよね。

 

そこで今日は、MRになって分かった製薬業界の話などを少し書いていけたらなと思っています。

お付き合いいただけたら幸いです。

【目次】

MR(医薬情報担当者)について

MRってどんな仕事?

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製薬企業の営業職で、自社の製品(医薬品)に関する情報提供を通して医薬品の適正使用を推進し、

一方で有害事象情報の収集を介した医療安全活動の展開をしています。

 

まあこう書くとかなりカタイですね。笑

 

要するに、自社医薬品の有効性・安全性データを医師の方々に提示しつつ、

「こんな患者さんにはうちの薬をご処方願います!」と売り込む営業マン

ということです。

MRにとっての直接のお客さんは医者ということになりますが、

処方箋医薬品という特性上、そのお客さん(医者)が製品を使うわけではなく、

医者にとってのお客さんである患者さんに使ってもらうための

営業活動ということになります。

 

もちろん、一方的な情報提供のみならず、安全性情報の収集も大事な業務です。

多くの食品やサプリメントなどとは異なり、

医薬品は生体に強烈な作用をもたらす成分を凝縮した粒なわけですから、

患者さんが服用した後に健康被害は起きなかったか、また起きた場合はどんな症状で、

どのような転機を辿ったかまで情報収集をします。

その情報をもとに、医薬品の適性使用情報のアップデートにつなげるわけですね。

売って終わり、というわけにはいかないのが医薬品です。

 

一般的な"営業"と違うところ

他業種の営業を経験したわけではありませんが、

MRの営業スタイルの「特殊だな~」と思うことをいくつかご紹介します。

 

■価格交渉をしない

一般的な営業マンは、お客さんとの値引き交渉も立派な業務の一つかと思います。

医療用医薬品については、薬価制度があるために薬の値段は国が決めています。

そのため、医師との商談の際に価格交渉をする必要がないんですね。

 

これはメリットにもデメリットにもなります。

メリットとしては、純粋に製品のポテンシャルを訴求できるということ。

医師に対して営業をかける業種は、MRのほかに

MS(医薬品卸の営業職)という業種もあります。

医療施設への納入価については、各卸ごとに自由な価格設定が出来ますので、

医師が「安く仕入れたい!」と思ったときはMSさんとの商談がメインになります。

医薬品そのものの価格は国が決めるうえ、納入価にもノータッチということもあって、

MRは価格交渉をする必要がありません。

医師もそれを分かっていますので、MRとの商談の際には、

有効性・安全性を中心とした製品としてのポテンシャルをテーマに話が進んでいきます。

いいデータさえ出ていれば強気でアピールできる、という点で

価格交渉をしないことがメリットにつながっていると考えます。

 

一方でデメリットとしては、もうそのままですが

価格交渉できないということですね。笑

同じような成分の薬剤が5種類も6種類も発売されている中で、

「ほぼ同じ効果なら安い薬がいい。その方が儲かるから」と考えるのは

当然ですよね。開業医であれば医師も経営者ですから。

そうなってくると、薬価が高いということは納入価も高くなるということですので、

医師とMSさんとの価格交渉の中で、他社医薬品に負けてしまう、ということもあります。

 

■情報提供のルールが厳しい

言っていいこととそうでは無いことが、ものすごくはっきり分かれています。

現場で働いていて一番困るのが、この「情報提供のルールが厳しい」ことです。

正確には「医薬品の販売情報提供活動ガイドライン」というルールブックがあるですが、

要するに「事実のみを話せ・自社品のみを話せ」という縛りがついています。

 

ものすごく辛い縛りです。

何よりも医師が一番聞きたいであろう「ほかの薬と何が違うの?」に

答えることを制限しています。

少し前までは、データさえあれば他社品との違いを話すことが出来ました。

仮に「自社製品Aと競合品Bとを比べた時に、有意な差をもってAの有効率が高かった」

というデータが出ており、論文化さえされていれば、

それを医師にお伝えすることが出来たんです。

ところが今は、そういったデータがあったとしても基本的には「お答えできません」。

 

一般論ですが、自分自身もお客さんの立場になった時に、

「このパソコンは、ほかのパソコンと何が違うの?」

というのは一番気になるところかと思います。

そこにお答えできないというのはなんとも歯がゆいですし、

営業職としてどうなのだろうというのは常々思います。

 

確かに、生命関連企業として、エビデンスのない話をして

万が一のことがあってはいけない、という理由も分かるのですが。

 

給与・待遇の話

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営業職一般の中では、恵まれている方なのだと思います。

待遇や福利厚生については、細かいところは会社ごとに違っていますので

一概にこうとは言えませんが、どこの会社でもいいなあと思えるものはあります。

 

ざっくりとしたイメージですが、

内資系企業さんは家賃補助が手厚い印象です。

賃貸住宅を借り上げる際も、「家賃×○%まで補助」というように

割合でかかってくるケースが多く、一人暮らしだと割と場所を選ばず

好きなところに住めます。

 

一方で外資系企業さんは営業車の使い方がフレキシブルな印象ですね。

一人一台貸与されてる営業車があるのですが、

とある外資系企業さんは「月2万円払えば営業車を私用で使い放題」という

オプションが選べたりします。ガソリン代も会社もちって、

かなり手厚いですよね。


MRは基本的に全国転勤を求められる業種のため、

家や車に関しては会社側からもサポートが手厚めなのでしょう。

内資外資問わず、こういった待遇は恵まれているかと思います。

 

給与に関しても、平均年収で比べてみると、貰っている方なのだと思います。

新型コロナウイルス感染症拡大前こそ、拘束時間は確かに長かったので

それ相応だったのかもしれません。

緊急事態宣言は発出されてからは一日中外勤ということも少なくなりまして、

時給換算にしたらかなりの高給取りかと。

(今後の業界再編・人員整理待ったなし、ですね)

 

 

MRの"リアル"

売り上げ至上主義?

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結論から書きますと、会社次第です。

でしょうね!と言われてしまうかもしれませんが、程度の差はあれど、

営業職である以上売り上げは切っては切れませんね。

ただ、(完全に偏見で申し訳ありませんが) テレビで見る不動産業界や証券会社のように

「いいかお前ら、死ぬ気で売ってこい!」という風潮のある製薬会社は皆無だと思います。

 

諸先輩方のお話を聞く限り、今から20年以上前はそういった風潮はあったようです。

いわゆる「詰め」と呼ばれる業務があります。

要は実績の前倒しですね。例えば一ヵ月あたり300錠の自社製品を注文してくださる医院に対し、

「3か月分まとめて、今月1,000錠買ってください!」とお願いする営業です。

期末は毎回のように詰めの営業に回り、ノルマ達成しないMR(当時プロパー)は

会社に戻れなかったそう。

 

今は全くそんなことは無いですね。

ただ、ボーナスには大きく反映されることになります。

営業職なので当然ですが、通期で100%いくかいかないかは最重要事項です。

会社によっては、品目ごとのボーナスラインが設定されており、

トータルで達成していたとしても、どれか一つでも品目がラインに満たなかった場合は

ボーナスなしという制度の会社もあります。

"講演会"屋さん

講演会と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか。

僕個人としては入社前は、それこそ「ノーベル賞受賞者記念式典」のように

物々しい雰囲気の中、各界の著名人が集まって熱い苦労話などを聞く、

そんなイメージを持っていました。

テレビドラマでも「○○大臣 就任記念演説」のようなシーンがありますし、

完全にそういった影響でしょうね。

 

製薬会社にMRとして入社して、一番驚いたことの一つが講演会の多さです。

もう毎週のように講演会を開催しています。

しかもそれは僕が以前もっていたイメージとは違い、

地域の開業医の先生方が20名前後集まって、エリアの基幹病院の先生の話を聞く、

そう言った小規模の会がほとんどでした。

 

もちろん、日本を代表するトップ医師からの最新の医学的情報を話してくださる会もありますが、

数としては少ないですね。3か月に1回あるかないか。

 

MRの世界ではD2Dなんて言われたりもしますが、これはDoctor To Doctorの略で、

実臨床での自社品の使用実態や手ごたえなど、

MRが話しづらいことを医師から医師へ話してもらうことを目的としています。

 

営業職として恥ずかしい話ですが、MRからの情報提供だけで

「分かった、この薬使うわ!」となることは多くないんですよね。

背景にはいろいろな理由があります。

上述のように、医者が本当に聞きたい製品ごとの比較をMRから話すことが出来ないというのも

そのうちの一つだと思います。

その点、D2Dでしたら自身の処方に対する考えや自験例をもとに講演いただけるので、

売り上げ拡大を目的とした打ち手としては、非常に有効なわけです。

 

いかがでしたでしょうか。

まだまだ書き足りないリアルな話はありますが、これ以上書き綴っていくと終わりそうもないので

一回ここで区切ろうと思います。笑

 

こういう記事はダイジェスト的なまとめ方にして、各論は別記事にしていこうかな。

ではまた。