【2021年】対面ディテールは復活基調!情報提供はどう変わる?
お疲れ様です。緊急事態宣言が5月末まで延長されることがほぼ確定しました。どうしても第1回目の緊急事態宣言に比べると、効果が弱くなってきているのでしょうか。MRの訪問による対面ディテールも復活の兆しを見せているようです。
情報提供の数の変化
GP市場ではコロナ流行前の水準に
同月比で4%ほど増加。特にGPでは40%以上も増加しているというデータが出ています。参考値となっている2020年3月度は、緊急事態宣言こそ出されていないものの、不要不急の訪問は控えましょうというムードがありました。そのため、全盛期に比べたら少ない数ではありますが、それでも30%前後の上昇は驚きですね。
確かに外勤をしていても、定期訪問メーカーは増えてきた印象です。一方で、会社の方針により外勤の規制度合いに差があるのでしょう、全く見かけなくなったメーカーもちらほらといます。
HPは依然として規制
HP市場においてはまだまだ規制が厳しく、営業所の病院担当者は“仕事探し”に忙しくされています。オンラインによる面会が可能な病院と、そうでない病院とで二極化しているのが現状です。自分の担当施設が運悪くオンライン面会すら完全に断られている場合は、資料の郵送くらいしか活動の幅を広げられません。
しかしそれでは会社が許さないのも事実。なんとかコンタクトの機会を創出しようと、”会うためのWeb講演会企画”を立案せざるを得ないという状況です。
Web関連の伸びが止まらない
そういった背景もあるのでしょう。2020年度からWeb関連の実施件数が急増しています。以下に各チャネルごとの情報提供数をまとめます。
MRの対面ディテールの総数は約600万回であり、Web講演会+インターネットの情報提供は約540万回となっています。MRは1日に複数の施設を回ることが出来ますが、Web講演会では、どんなに増やしたとしても製品あたり1日1回でしょう。
実際は毎日流し続けるということはありませんから、対面ディテールとほぼ同等の数ということことになります。それだけ取ってみても、オンラインでの情報提供へかなりシフトしていることがうかがえます。
グラクティブの凄まじい伸び
特にご注目頂きたいのが、グラクティブ(小野薬品)の件数の伸びです。すさまじいですね。オンラインでの情報提供では市場別・チャネル別ともに1位。3月度データにおいては2位と圧倒的な差をつけての1位になっています。
一方で対面ディテールや院内説明会では、フォシーガがランクインしています。糖尿病製品を軸に、対面とオンラインとで挟み撃ちということでしょうか。
情報提供、どう変わる?
手探りは最初だけ
DXと言われて久しいですが、最初こそはみんながみんな手探りでオンライン化に必死でした。先生方も、MRを呼ぶわけにはいかないけど、オンライン面会も出来ないし・・・とご苦労されていたと思います。
チャネルニーズはかたまりつつある
それももう今は昔。Zoomなどのツールも浸透しだして、オンライン面会に応じて下さる医師も増えてきました。施設の訪問規制が厳しい病院の医師でその傾向は強いです。
一方で、GPでもオンライン面会を積極的に取り入れる施設は増えてきたように感じます。特に3回目の緊急事態宣言が発令されてからは、感染力の強い変異株を警戒して、今まで訪問規制をしてこなかったGPでも訪問規制を敷いたりと、より厳しい状況が続いています。
オンライン面会を取り入れる人は確実に増えてきました。しかしながら、そういったツールを一切取り入れていない医師がいることも事実です。コロナ禍に突入して早1年。今この段階でオンライン面会やWeb講演会に消極的な医師については、今後も変わることはないでしょう。
ワクチンがさらに普及し、インフルエンザと同じような扱いとして社会が受け入れるまでは当面このようなスタイルが続くと思われます。その後は、GP市場においては流行前の状態に戻っていくでしょうね。
「廊下で捕まえられない」病院担当MRは
病院経営や世間体の観点から、万が一病院がクラスターになっては困ります。流行前は自由に出入りが出来た施設でも、厳しい訪問規制をかけている施設も少なくありません。
新型コロナウイルスを仮に撲滅したとしても、この規制が完全に戻ることはないと見ています。オンライン面会を取り入れることで、従来通りの情報提供を受けることに気づいてしまったからです。
これまでの病院担当者の仕事には、医局前で目当ての医師を待ち構えて、通りがかりを捕まえるというものがありました。そうした仕事は格段に減っていくと思います。
院内フォーミュラリで向かい風も強く
院内フォーミュラリをご存知でしょうか。簡単に書きますと、費用対効果を重視して院内で使う薬剤をリスト化したものです。多くの場合、院内フォーミュラリには、臨床試験のエビデンスを参考に、同種同効薬の中でも1種類か2種類の薬剤しか載りません。そのため、仮に収載されなかった場合、院内で使われることはほぼなくなります。
各メーカーはそれを阻止すべく、採用権を持った医師へ集中的にアプローチすることが求められます。そういった背景もあり、「外来枠のある医師に手広くアプローチする」ことを目的とした従来の廊下で"捕まえる"仕事は、さらに減っていくと思われます。
まとめ:対面のGP オンラインのHP
いかがでしたでしょうか。今回は、情報提供の件数の変化についてまとめてみました。GP市場では、オンラインツールを活用した情報提供が出来る施設、出来ない施設が二極化しており、中期的には流行前のような対面ディテールが主流になると見ています。
一方でHP市場においてはオンライン化がさらに進み、今までのように廊下で待ち伏せという形式は激減していくでしょう。
ただ、これは悲観的な面だけではないと思います。製薬企業としても扱う薬剤の専門性や特殊性が増してくることが予想されます。オンライン面会が今よりも主流になっていくことで、学術担当者やプロダクトマネージャーとも連携した活動が増えてくるでしょう。環境変化を前向きにとらえて、使えるものは何でも使うという精神でいたいものですね。
GP/対面 | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | テリルジー(GSK) | 47,081 |
2位 | リベルサス(MSD) | 41,081 |
3位 | ルパフィン(田辺三菱) | 37,535 |
HP/対面 | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | デエビゴ(エーザイ) | 24,957 |
2位 | サムスカ(大塚製薬) | 20,265 |
3位 | ベルソムラ(MSD) | 17,797 |
GP/オンライン | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | デエビゴ(エーザイ) | 2,291 |
2位 | タケキャブ(武田薬品) | 1,501 |
3位 | ルパフィン | 1,399 |
HP/オンライン | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | デエビゴ(エーザイ) | 5,911 |
2位 | サムスカ(大塚製薬) | 4,651 |
3位 | アジルバ | 4,548 |
GP/Web講演会 | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | グラクティブ(小野薬品) | 37,163 |
2位 | イニシンク(武田薬品) | 14,834 |
3位 | アミティーザ(マイランEPD) | 10,372 |
HP/Web講演会 | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | グラクティブ(小野薬品) | 52,804 |
2位 | イニシンク(武田薬品) | 25,091 |
3位 | アミティーザ(マイランEPD) | 18,704 |
GP/インターネット | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | グラクティブ(小野薬品) | 40,966 |
2位 | リンゼス(アステラス製薬) | 32,431 |
3位 | エクメット(大日本住友) | 30,123 |
HP/インターネット | 製品名(メーカー) | ディテール数 |
---|---|---|
1位 | グラクティブ(小野薬品) | 65,432 |
2位 | サムスカ(大塚製薬) | 46,214 |
3位 | エクメット(大日本住友) | 46,086 |