【MRのノルマ】グラクソ・スミスクラインのMR評価体系変更から5年、業界はどう変わった?
お疲れ様です。昨年度の営業成績、
(目安:2分)
【目次】
MRのノルマって?
薬価金額(合算)
医薬品の流れは、製薬会社→医薬品卸→医療機関→患者となります。それぞれを通過するときにマージンを乗せながら、最終的に薬価(国によって決められた末端価格)で患者さんの手に渡ります。もちろん、窓口負担は1~3割となります。
MRの営業成績の評価は、多くの場合薬価で見られます。つまり、医師がどれだけ処方をしたか、何人の患者さんの手に渡ったかが評価されるわけです。
もともとMRは医療機関と価格の交渉をしません。医療機関に医薬品を納入している医薬品卸との交渉になりますので、納入価(医薬品卸から医療機関へ納入される時の価格)は人によってまちまちです。そういった部分を評価に盛り込んでしまうと、さすがに不公平になってしまいます。
自分が担当する製品をトータルで見た時の売上目標金額が、
薬価金額(製品別)
トータルではなく品目ごとに評価するケースもありますが、
グラクソ・スミスクラインがノルマを撤廃して
経緯
2015年初め、グラクソ・スミスクラインがついにMRの評価体系にメスを入れました。売り上げ目標を撤廃し、真の意味で医療貢献につなげていきましょうという大改革。当時僕はまだぎりぎりMRではありませんでしたが、就職活動をするにあたってそのあたりのアンテナは張っていました。ある意味、今よりも業界を俯瞰できる立場だったかもしれませんね。笑
ただ、直近ではその売り上げ目標撤廃を取り下げて、またノルマありきの評価体系に逆戻りしています。売り上げ目標がない営業職って、ある意味社会主義の農民みたいですよね。かつて社会主義国家が衰退していった原因の一つにも農業があるように。「頑張っても報酬変わらないんだから、頑張らなくていいや。台風とか獣害あってもそのままでー」なんていう形で、慢性的なモチベーションの低下につながる可能性はありますよね。
不公平感は少なるかもしれませんが、優秀なMRの意欲を刺激できるかというと微妙なところがあると思います。
個人的には期待していた
いわゆるノルマがなくなるっていう話、実はものすごく期待していました。初めて聞いたのは学生のころでしたが、学生からしたら「ノルマ」という言葉って恐怖の対象でしたし、それを気にしなくていいなんてすごく働きやすそうだ、なんて思いましたね。また、MRの泥臭さを知らない学生だったからこそ思い描いていた理想象ですが、医師と対等に治療法についてディスカッションしたいなんて思っていました。今思えばおこがましい限りですが、それでも薬を売ることありきでなく医師と薬について話せることに憧れていたのは事実ですね。
結局なにも変わらなかった
気付いてみたらもう5年以上たっていましたが、ふたを開けたらまたノルマ制で横並び。まあ営業職なのでさすがに営業成績気にしなくていいっていうのじゃ組織が上手く回らないということに経営陣も気づいたのでしょう。
現場では「売り上げ目標がなくなっても、評価指標が他のものに切り替わっただけ。例えば前同比が評価指標になるから、今期あんまり頑張りすぎても来期しんどくなるからほどほどでやめる」なんていうリアルな声もありました。
まとめ:ノルマはあるけど詰めなくなってwin-win
腐っても営業ですから、そりゃあノルマがあって当たり前ですよね。外資系企業とはいえ、国内でも業界では名の知れた大きい会社がとった改革ですから、業界全体としてそういう方向になればいいなあなんて淡い期待をしていました。結果としては、残念でしたが。
ただ、ノルマと違うところですが、「詰め」がなくなったのは本当に大きいですね。当局からの適性流通ガイドラインが出てから、売り上げ実績の前倒しで医療機関に買ってもらうことは激減しました。「まとめて買うんだから少し値引きして」と価格交渉出来ていた医療機関からしたら少し残念なのかもしれませんが、泥臭い営業仕事が減りMRとしてはハッピーですし、安売りする必要がなくなった医薬品卸さんも同じかと思います。
論点が少しずれてしまいましたが、今回は営業ノルマ撤廃に打って出たグラクソスミスクラインの話をしてみました。まだまだ処方量を追いかける売り上げ至上主義は続きそうです。