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広がらない「オンライン診療」のなぜ

広がらないオンライン診療

新型コロナウイルス感染症による医療の混乱の中で一躍注目を集めたオンライン診療。しかし、あまり普及していないという現状があるようです。

記事の概要
  • オンライン診療の実施件数の推移について
  • オンライン診療が広がらない理由について(私見)

 

実施件数は頭打ち

初診の電話・オンライン診療の実施施設数

上図は厚生労働省が発表しているオンライン診療の実績の検証から抜粋しています。ご覧の通り、初診での実施件数は2020年5月ごろに急激な上昇を見せたもののその後は反落。2021年2月には復活の兆しを見せましたが、頭打ちとなっています。

 

また、オンライン診療よりも電話診療の方が多く、まだまだ臨床現場には本当の意味でのオンライン診療が根付いていない現状が伺えます。

 

特例的な取り扱いに対応する医療機関の数

 

また、こちらは医療機関の数で推移を辿っています。緑と赤の折れ線グラフをご覧いただきますと分かる通り、実施している医療機関の数も頭打ちとなっています。

 

第1回目の緊急事態宣言の時こそ、オンライン診療が注目され、今後はオンラインが主流になるという論調もありましたが、実際のところは広がっていないと言わざるを得ないですね。

 

失速する理由は?

テクノロジーやシステムとしては非常に画期的なオンライン診療、なぜ広がらないのでしょうか。私なりに考察してみます。

 

その1:フリーアクセス

ご存知の通り、日本では国民全員がいつでもどこでも同様の医療が受けられるフリーアクセスという仕組みが出来上がっています。かかりつけ医でなくても、保険証さえあればお出かけ先でクリニックにかかることも出来ますし、もちろん費用負担も大きくは変わりません。

 

当たり前すぎてなかなか気付かないことだとは思いますが、世界的にみても大変すばらしい制度になっています。

 

一方で、このいつでもどこでも医療を受けられるという仕組み自体が、オンライン診療の広がらない原因になっている可能性も考えられます。

 

確かに、現地まで出向かなくても医療を受けられるというのがオンライン診療の最大のメリットです。待合室での感染症のリスクが怖いからと受診を控える人が多かったのは事実ですが、混んでいるようなら別のクリニックにかかればいいという患者さんも、多かったのではないでしょうか。

 

その2:電話を超えられない

実際の診察としてオンライン診療と電話を比較したときに、「画面越しに見える」ことが大きなメリットになっていないということも考えられます。

 

多くの外来患者さん、特に生活習慣病を治療中の患者さんに取ってみれば、診察室では「特に変わりありません」と伝えることも多く、画面越しに顔が見えたところで大きなメリットにはならないというのが現状です。

 

結果的に、上図のようにふたを開けたら電話で対応した施設が多かったということになったのだと考えます。

 

また、整形外科では膝が痛い、腰が痛いという患者さんが多くかかりますが、膝や腰を見せられたところで医師は判断できません。

 

その3:患者を取られては困る

診療する場所を選ばないということは、例えば東京にいながら大阪の診療所にかかることも可能です。実際にはそこまでの事例はまだまだ少ないかと思いますが、自宅にいながら名医にかかるなんていうことも、オンライン診療では実現できてしまいます。

 

そうなった場合に、今まで来院していた地元の患者さんが減ってしまい、経営にも直結するという事態にもなりかねません。医師の最大の政治団体である医師会、特に地域の医師会としては、好ましくない事態と言えるでしょう。

 

その4:未熟な物流・情報流

医療機関側も患者側も、そもそも使い慣れていないという課題ももちろんあります。加えて、決済や処方箋の交付、薬の受け取りまでの一連流れがまだまだ未熟であると思われます。

 

厚生労働省の報告によれば、薬局薬剤師にとってオンライン診療に連結した服薬指導と薬剤の交付の方が、直接の来局よりも業務量が増えたのだそう。

 

医療を提供する側としても、まだまだ受け入れる体制が整っていないという現実もありそうですね。(かといって、普及のためには少しずつ慣れていくしかないのですが。)

 

 

最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

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