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10年後に製薬業界で生き残るには?薬学生とのOB訪問を通して

10年後の製薬業界

先日、とある薬学生からこんなことを聞かれました。「企業に就職することを考えているのですが、これからの製薬業界で生き残っていくためには、どんな素質があったらいいでしょうか?」背景にはMR不要論やリストラの話題が絶えない業界であるということもあるのかもしれませんね。

 

2021年に入ってからも数社の早期退職が発表されていますので、学生さんが不安に思うのも分かります。非常に難しいテーマですが、自分事としても考えないといけないことだなと気づくきっかけに。今回は、私が考える10年後の製薬業界で生き残るために必要なことをまとめていきます。

記事の概要
  • 向こう10年間で起こる製薬業界の変化についての考察
  • 製薬会社で生き残るための能力について
  • 変化を先読みする力を身に付けるためには

 

医薬品にとっての「10年」

医薬品に関連する業界でお勤めの方にとって、「10年」という数字は特別な意味があるのではないでしょうか。そう、特許ですね。きっかり10年ではありませんが、今の日本の医薬品開発フローでは、物質特許の期間はおおよそ10年間が相場と言われています。

 

10年後の製薬業界ということになると、今日の新薬がちょうど特許切れを迎えてジェネリック医薬品が発売されることということになります。

 

2021年現在でも、続々と特許切れの医薬品がジェネリックに置き換わっています。直近ですとアジルバの特許が切れ、いよいよARBもジェネリックで染まってしまいました。

 

生活習慣病領域の新薬はますます減り、代わりにオンコロジー領域や希少疾病への薬剤が増えてくることが容易に予想されます

 

重点領域から見る10年後

内資系製薬会社の重点領域
  • 武田薬品:がん領域・希少遺伝子疾患・神経領域
  • アステラス製薬:がん領域(免疫)・遺伝子疾患・再生医療
  • 第一三共:がん領域・抗体医薬・循環器領域
  • エーザイ:がん領域・神経領域・アルツハイマー
  • 大塚製薬:がん領域・神経領域・循環器領域
  • 中外製薬:がん領域・神経領域・ゲノム創薬

 中期経営計画説明会資料より、国内の主要な内資系製薬会社とその重点領域をまとめました。驚くべきことに、どの会社もがん領域へ注力することを掲げています。そのほかにも神経領域や遺伝子疾患への注力が目立ちますね。

 

外資系製薬会社の重点領域
  • ファイザー:がん領域・希少疾患・炎症免疫疾患・ワクチン
  • ノバルティス:がん領域・中枢神経・循環器領域・アイケア
  • MSD:がん領域・プライマリー・ワクチン
  • アッヴィ:がん領域・精神疾患・自己免疫疾患・ウイルス
  • J&J:がん領域・神経領域・免疫疾患・感染症

一方、外資系メーカーを見てみましょう。がん領域はどこの会社も注力していますね。内資系企業と比べると、ワクチンや感染症など、予防医療にも積極的に注力していることが伺えます。

 

10年後となると、生活習慣病領域の薬剤が収益の柱になっていた時代は終わり、間違いなくオンコロジー領域に貢献する高分子医薬品で戦う構図になっているでしょう。

 

経営戦略から見る10年後

また、各社の中期経営計画を見てみると、面白いことに気づきます。それは、医薬品以外の領域にも少しずつ事業範囲を拡大しているという点です。

 

例えばアステラス製薬。Rx+事業と名付けた診断や予防を含めた医療サービスを展開していくことが決定されています。フィットネスジムとも提携し、医薬品に頼らない形で生活習慣病の治療をサポートしています。生活習慣病になる前から介入していくという戦略ですね。

 

他にも大塚製薬は「治療用アプリ」や「デジタルヘルスソリューション」を中期経営計画の柱として掲げていますし、中外製薬もビッグデータを取り入れたAI創薬力を強化しています。

 

製薬会社であっても、薬以外の領域に進出しだしており、これは今後10年間で想像も出来ないほど進歩していくと思われます

治療の主体は高分子・再生・遺伝子

アンメットメディカルニーズを満たす薬剤が順調に出てくると仮定しましょう。現在でも未だ満たされていない疾患には、アルツハイマー型認知症や慢性腎臓病、統合失調症などが知られています。

 

いずれも、組織レベルで慢性的に異常が起こっているものが多く、受容体をどうこうするというよりは「元に戻す」という切り口での治療が必要になってきます

 

今後の医薬品の中心としては、抗体医薬品や再生医療等製品、遺伝子治療などが考えられます。

 

生き残るための能力

長くなってしまいましたが、前提となる製薬業界に起こり得る変化をまとめると、「医薬品の複雑化」「医薬品以外の治療ツールの普及」「予防医学への介入」であると考えます。

 

こうした前提に立って考えた時に、製薬業界で生き残るための能力は、「楽しく学び続けられる力」と「変化を先読みする力」だと私は考えます。 

 

楽しく学び続けられる力

新薬がカバーする疾患領域が複雑になるにつれて、医薬品一つ一つの特性もますます高度になっていきます。加えて、がん患者さんを中心に、多数の併存疾患を抱える患者さんも増えてくるでしょう。あっちを立てればこっちが立たず、絶えずそうした選択を迫られる業界ですので、疾患や病態を深く知ったうえで最善策を導き出せる論理的思考力はますます求められてきます。

 

モチベーション高く、最新の知見を貪欲に取りに行ける力が重要と考えます。

 

変化を先読みする力

こちらに関しては、佐藤 航陽 著「未来に先回りする思考法」の受け売りではありますが、特に当てはまる業界だと肌で感じています。

 

こちらの書籍にも記載の内容を少しだけ紹介いたします。よく「変化に対応出来る人こそが優秀な人材だ」と言われますよね。確かに新しいテクノロジーが生み出されたり、環境変化が起こった時にそれらをうまく取り入れられるかどうかは重要な要素です。

 

しかし現代においては、あらゆるテクノロジーの進化が早すぎるうえ、情報の伝わる速さが格段に向上しているために、「変化に対応している間に次の変化が起きてしまう」という現象が起きています

 

スマートフォンのアプリなどはまさにその類ですね。スマートフォンの通信能力やカメラの性能が向上したことによりオンライン診療アプリが一躍話題となりました。ただ、ユーザーのレビューによって初動で低評価をつけられてしまうと、一気にシェアを取られてしまうアプリも多く見受けられます。

 

どのように変化を先読みしていくかについて、著者は「必要性を見抜けるか」をあげています。この本を読んでから私は「このテクノロジーはこういった必要性に基づいて開発されたんだな」「社会的にはこうした必要性があるから、次に製薬業界で起こる変化はこうした方向性だろうな」と予測立てて考える能力を身に付けることが出来ました。

 

詳細についてはぜひお手に取って読んでみてください。ものすごく視野が広がります

 

まとめ

今後10年間で起こるであろう製薬業界の変化を考え、そのうえで生き残るための能力としては「楽しく学び続けられる力」と「変化を先読みする力」であることをご紹介させていただきました。

 

普段は何気なくもやもや思っていた考えですが、今回OB訪問という機会を学生さんに頂いて、私自身考えをまとめることが出来ました

 

OB訪問には自分が気になることを教えてもらう、という意味合いが強いと思いますが、逆に自分の業界のことを話してみることでも、刺激を貰えますね。貴重な機会を作ってくださった学生さんに感謝します。

 

もし読者さんの中で「新しいことに挑戦してみたいけど、少し不安があるから業界に詳しい人から話を聞いてみたい!」と思われている方がおられましたら、ぜひOB訪問をご検討されてみてはいかがでしょうか?

 

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最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

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